新潟県妙高市の猪野山地区で「遊雪農商」を合い言葉に雪国の魅力を再発見・再活用する試みが始まろうとしています。

妙高市は日本屈指の豪雪地帯であり、その雪によってもたらされるさまざまな恵みの中で生かされています。多くのスノーリゾートを擁し遊び場を提供していることはもちろんのこと、山々に降り積もった雪はやがて清らかな水となって大地を潤し、木々や作物を育み、実りをもたらします。
この雪という天然資源の恩恵をあずかる豊かなフィールドを舞台に、雪が好きな人たちにとって継続的な経済活動を生み出し、新しいモデルケースをつくろうという試みが「遊雪農商」なのです。

「遊」スノーボード、スキーに限らず、遊ぶために雪が必要な人達が集う。
「雪」日本の天然資源の自然降雪。雪国を遊び場だけでなく生活の場として活用する。
「農」雪国の恵みである豊富な水を活用して、生活の中に農業を取り込む。
「商」雪国地域に生活する人たちが創り出した農作物や商品を直接届ける。

最終的には雪という天然資源を持つ地域の既存経済領域の中に、都会からの移住者が増える仕掛けを作っていきたいのです。
そして、私たちがはじめた遊雪農商のひとつの形が「雪番長米」です。
私たちは「雪山に強いこだわりをもち、雪山をこよなく愛する人々」を雪番長と再定義しました。そんな雪番長たちによって雪国のフィールドで作られるお米が「雪番長米」なのです。

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お米の特徴

「雪番長米」は妙高市猪野山地区の棚田で生産されているコシヒカリです。ミネラル分を含んだ冷たい雪解け水で栽培され、低農薬で化学肥料をほとんど使わない、安全で安心のおいしいお米です。濃い味わいとほどよい粘りで、冷めてもしっかりとした甘みを感じます。炊きたてはもちろん、おむすびにして雪山に持っていってもおいしいと評判です。

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雪番長米ストーリー

雪番長米づくりは妙高市で農業を営む数名で行っています。中心メンバーの尾崎さんと片さんにお話を伺いました。

- 雪番長米をつくり始めたきっかけは?

尾崎「妙高クラブフィールドがきっかけかな。以前ARAIリゾートで働いていた塚田卓弥さんとは当時から顔馴染みで、彼が旧ARAIリゾートがあった大毛無山フィールドをもう一度滑るためにプライベートなクラブフィールドにしようという話を持ち込んで来て、そこで集まったメンバーたちが中心になっている。この地域に住んで、この地域が好きで、自分たちの手で地域の活性化をしたいという想いがあったし、塚田さんが提案した『遊雪農商』にも賛同して、モデルケースをつくろうというところから始まった」

- どんなお米なんですか?

尾崎「妙高市の猪野山地区内で生産しているお米です。“道の駅あらい”の西側の山裾にある集落。特徴としては山からの湧水を使って棚田で米をつくっているということかな」
片「棚田は平地の田んぼと比べると、非常に手間がかかる。それでも米づくりに適した“赤ベト(柔粘土)”ときれいな雪どけ水がある。生産量は平場と比べて落ちるけれどおいしい米ができる」
尾崎「水と土と空気は自慢できるね」

- どの辺りの水系になるんでしょうか?

尾崎「大きな水系でいうと関川水系だけれど、上流に位置するから、南葉山の伏流水だね」
片「山里の環境を守りながら美味しいものをつくりたいから、極力化学肥料を使わず、低農薬にもこだわっている」
尾崎「安心、安全でおいしい米だね。自分たちが食べる米だから」

- お米の品種は何ですか?

片「コシヒカリです。魚沼産のコシヒカリがもてはやされているけれど、魚沼といっても広いしね。本当に美味しい魚沼産コシヒカリを生産しているところもあるけれど、猪野山のコシヒカリも味では負けない自信がある」

- 雪番長米をブランド化していくのですか?

尾崎「美味しいものを提供することにはこだわっているから、雪番長米を名乗るからには栽培方法や肥料も標準化して、ブランドとして確立したい。でもそれだけが目的ではなくて、おいしいお米ができるここに遊びに来てほしいということが大きいかな」
片「品評会で賞を取るようなお米をつくることもできると思うけれど、かといって手に入らないような幻の米をつくりたいわけじゃないしね。喜んでもらえるものを提供することの方がうれしい」